先日のパチュアリの抜粋文はどこへ行ったやら、気がつけば同じパチュアリでも全く別の話を書いたりしておりました(死
以下、その抜粋。


[東方project/パチュアリ]

 元々抵抗する意志がないとはいえ、物理的に封じられてしまうと余計に「抵抗できないのだ」という気持ちが強
く意識されてくる。縛られている――ただそれだけのことで、いつもとは比べものにならないぐらいに心が沸き立
っているのが、どうしても感じられてきてしまう。
 パチュリーの背中で、後ろ手に縛っている魔法の力を撚られて形成された縄には、麻縄のような弛みがない。窮
屈な拘束感はそれだけ被虐感と悖徳感を高めて、結果としてパチュリーの心を昂ぶらせることにだけ繋がっていく。
(私……変態なの、だろうか……)
 そうした心の在り様が判ってしまうだけに、考えたくないことも考えずにはいられなかった。
「――ひっ!」
 首筋に這わされたアリスの舌先が、思考の世界からパチュリーを引き戻す。つつ、と伝う舌の冷たく粘る触感が、
首筋から頬へ、やがて耳元にまで伸びる間中とても淫靡な刺激として感じられる。
 舌で耳たぶを舐められれば、ぴちゃっという静かな唾液の音が耳のすぐ傍で静かに聞こえる。慣れないむず痒さ
から反射的に抵抗の意志も生まれるけれど、やっぱり後ろ手の拘束があっては抗うことなどできはしない。居心地
の悪さからただ躰を震わせることしかできなくて、そんなパチュリーの反応が面白いのか、今度は甘噛みするかの
ようにアリスはパチュリーの耳たぶへと、かぷっと軽い力で齧り付いた。
「ふぁう……」
 耳は性的な器官のようなリアルな性感を生まないのに。それでもリアルな音を静かに伝えるせいか、耳元への愛
撫はとても鋭敏な感覚で受け止められてしまう。
「ふぁひゅひー、ひひがほはいのねー」
「ひぁ……! み、耳を噛みながら、喋らないで……!」
 耳たぶを甘噛みで咀嚼されるたびに、なんともいえない不思議な感覚が全身を貫いた。
 もう目を開けていることもできない。けれど瞼を閉じたら閉じたで、耳元で淫靡に響く甘噛みの音。静かな音が
これだけ精神に深く響くものだなんて、知らなかった。
「はあっ、はあっ……」
 ようやくアリスの顔が耳元から離れたときには、気付けば酷く荒い息を吐いている自身の姿がそこにはあった。
慣れない感覚に呼吸を乱されていたのか、それとも耳なんかへの愛撫にまで感じていたのか。
「パチュリー、凄いことになってる」
「え?」
 一瞬なんのことか判らなくて、伺うようにアリスの顔を見ようとした瞬間。
「んぁ……!!」
 パチュリーの下腹部に、アリスの指先が挿し入れられてきて。深い性感の酩酊が躰を突き抜ける感覚に、パチュ
リーは喘ぎの声を上げてしまう。指先の挿入は快楽の波だけを走らせて、僅かな苦痛もなくパチュリーの裡の深い
場所にまで、簡単に押し入ってきた。
「……凄い」
 アリスが感嘆の声を漏らす。前戯もなしに指先が深い場所にまであっさりと入る理由なんて、ひとつしかない。
 痛みはなくても、快楽は深すぎるぐらいに心に響き蝕む。挿入された指先が、今度は引き出されて擦れる快感。
耳たぶなんかよりも、ずっともっと快感を伝える神経が集中した器官の中で。襞を擦れる指先の刺激が、狂おしい
ほどの快感を生みながら何度もパチュリーの裡を行き交いする。
「……ぁ……ぅ……、……っぁ! ぁ、ぁぅ……!!」
 まだ乱れたままの呼吸では、喘ぐことも少しだけ辛い。声を押し殺すでもなく、詰まるような声でパチュリーは
自身の中で蠢く指先に絶え間なく咽び喘ぎながら身を震わせる。
「ねえ、パチュリー。見て見て」
「……っ!」
 パチュリーの目の前に掲げられたアリスの指先。たった一本の人差し指にも、これでもかというぐらいに纏う粘
質の液。まだ少し指先を差し入れされただけなのに、夥しいぐらいにアリスの指先を汚す液の量を見せつけられて
は、パチュリーは絶句して目を逸らすしかできなかった。
「パチュリー、指が汚れちゃったわ」
 言って、パチュリーの顔の前にさらに指先を近づけるアリス。
「まさか」
「二度は、言わないわ」
「……うぅ」
 アリスが求めていることぐらい、判る。それでも。
「い、嫌よ。……それだけは、嫌」
 ここにきてパチュリーは、初めて抗意を露わにする。
「嫌なの?」
「だ、だって……それ、私のじゃない」
 アリスの指先から、今にも滴りそうな蜜液。その正体は、もちろん他でもないパチュリー自身の躰から出た愛液
なのだから。直視させられるだけでも嫌悪に顔が歪みそうな程なのに、それを舐め取る、だなんて。
「これが、アリスのなら。喜んで私は綺麗にするわよ。でも、自分のは……嫌」
 言いながら、少しだけ不思議なことだと思う。これがアリスの躰から出た愛液であるのなら、本当に私は何の抵
抗もなく彼女の指先を舐め取っただろう。同じ愛液の筈なのに、相手のはよくても、自分のは……尋常ではないぐ
らいに、嫌悪されることでしかない。

こちらは本当にもうちょっとで終わりますので、多分明日、遅くとも明後日には書き終わると思います。書きあがりましたら夜伽話に投稿するつもりですので、もしも興味を抱かれる酔狂な方がいらっしゃいましたらそちらに。
……結局、私はどちらかがどちらかに辛く当たるような。ソフトSMじみたお話を書くほうが好きなのかもしれません(死)


mixiを「友人まで公開」に狭めました。この変更で見れなくなった方には、申し訳ありません。