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アリスが本格的に身を乗り出してくる。いつ触れられるのか、パチュリーは彼女の指先を待った。 「触っても?」 「……どうぞ」 パチュリーが答えると、アリスはゆっくりと撫でるようにパチュリーの乳房に触れ始めた。 わざわざ許可を求めてくるアリスの様子が、先程までとはあまりにギャップがあって面白い。 「何よ――抵抗を許さないみたいなことを言っておきながら、ちゃんと許可は取るのね?」 可笑しくって、自然と笑みが零れてしまう。 「……確かに、ちょっと変だったかもしれないわね」 「でしょう」 「その……いまさらこんなことを訊くのは、却って失礼なのかもしれないのだけれど」 「うん?」 「えっと、私は、もちろんパチュリーのことが好きのだけれど。その、パチュリーは……リトルが言うみたいに、 本当に私のことなんかが好きなのかな、って」 半分自嘲気味に、アリスは言ってみせて。 そんな彼女の弱気な様子が、なんだかパチュリーには少しだけ癪に障ったりした。 「何よ。最近ずっと強気な風を装っていたというのに、自信がないの?」 「……強気に、見えた?」 「見えたわよ。……いつものあなたじゃないみたいで、ドキドキしっぱなしだったわ」 いつものアリスにもパチュリーはドキドキしているけれど。でも、いつもとは違うアリスの姿はいつも以上に パチュリーのことを、期待や興奮、それに不安でいっぱいにして止まなかった。 パチュリーに言われて、そうなんだ、とアリスは答える。 「そう見えていたなら……努力した甲斐があったかな。あんまり演技力には自信が無かったんだけど」 「……十分、自信を持っていいわよ。私はずっと、あなたに騙されていたようなものだし」 「騙すようなことをして、ごめんね」 「それを謝る必要は無いわ。……騙されでもしない限り、自分の気持ちに素直になれない私が悪いのだから」 その先を口にすることを、少しだけ躊躇う。けれど、いまさら躊躇うことに何の意味があるだろうか。 「あなたのことが、好きよ……」 こうしてきちんと口にすると、それだけで少し体温が上がったようにも感じる。 「……本当に?」 「随分と疑り深いのね」 パチュリーが少し苦笑してみせると、アリスはばつが悪そうな顔をしてみせた。 「今まで――幾度、夢の中であなたに愛されてきたか知れないわ。……今日はその夢が叶うと信じても?」 「あ……、う、うん、頑張ります」 「もう、急に殊勝にならないでよ。さっきまでのあなたはどこへ行ったの?」 「ご、ごめん……」 そんな風に、本当は優しくて健気なあなただから。私も好きになったのだけれど。 こんな時ぐらい……躊躇わずに、強気になってくれるほうがいいのに。
えちぃシーンを書く分には、状況と心情描写ばかりで淡泊に纏めてしまう方が個人的には好きなのですが、たまには少し会話を多めにしてみたり。
性的な交渉の最中には、どんな言葉のやりとりでも駆け引きみたいになりますね。