未だに東方原稿プロット中。一応二次プロットなのでちゃんと文章してますし、内容もそれなりなのですが。

生きた心地がしない、というのはこういう状況を言うのだろうか。心が落ち着かず、休まらない。
鏡に照らし出さなくても、おそらく顔が真っ青になっているだろうことは簡単に推測できた。
(――まさか、本当に看病することになるだなんて)
溜息を吐きながら、霊夢は思う。
(どうして、そんな無茶をするのだろう。常識的に考えれば、こんな吹雪の中で――)
しかし……そう思いながらも、霊夢の心境は複雑だ。
大好きな魔理沙にだから。無茶をしないで欲しかったと言う気持ちは確かにある。
でも、それと同じぐらい。本当は(無茶をしてくれたことが嬉しい)と思う気持ちも確かにあるのだ。
そもそも、来て欲しいという気持ちが無かったといえば嘘になる。来るわけがない、来るわけがない、と。
そう思いながらも、結局はなんとなく(待っていれば魔理沙が来るかもしれない)という、殆ど願望でしかない
予想に心を委ねるままに、雪の中でただぽつねんと待っていたのだ。
(来てくれたことは、嬉しい。でも……こんな無茶をして、もし魔理沙に何かあったら――)
心の中で幾つもの葛藤が鬩ぎ合う。思考がそんな考えて満たされてしまうと、ようやく霊夢は頭をぶんぶんと
振り払って、考えることを追い出した。
今更考えても仕方ない――。そう、現実に魔理沙が来てしまったのだから。
霊夢の両手の感覚は、さっき魔理沙に触れたときのことを克明に覚えている。
魔理沙の肌に触れた瞬間、ぞっとするほどの熱さを霊夢の掌は感じ取った。
熱病というのは、これほど恐ろしいものなのか。もちろん霊夢自身も熱を出して病に臥せったことはあったが、
他人の肌で感じて初めて知ることになった、病的に高まった人間の尋常ではない体温。
あるいはとても魔理沙の熱病は深刻なものではないのだろうか――と、霊夢は不安にもなった。
(――この吹雪では。永琳に診療を頼むわけにもいかないし)
魔理沙の為なら永琳に頭を下げることも、借りを作ることも構わない。とはいえ、外はこの吹雪模様。
これでは霊夢自身もまた、魔理沙のように結局は倒れて同じことになるだけかもしれない。
……いや、心底魔理沙の様態が心配な状況にあるなら。たぶん霊夢は、何一つ厭うことなくこの吹雪の中に
身を舞わせるだろう。永琳の意思に構うことなく、彼女を自宅まで引っ張っても来る。
幸いなのは、何度も見に行った寝室の魔理沙が、安らかな寝息を立てていることだった。
熱さましはある。魔理沙が目を覚ましさえすれば、多分すぐに彼女の容態は良くなる。
だから、そんなに心配するような状態ではない。――ないのだが。
(………………うう)
大好きな人が病に侵されるということが。
こんなにも看病する側にとっては辛く、不安なことであるなんて、知らなかったのだ。

粗筋は前の夏コミの原稿を書いてる頃にちょこちょこと書いたものなので、当時中度の熱病に侵されていた関係でそういうお話に。
なんで熱病の病的なまでの体温の上がり方って、犯されている当事者では頭のぐらぐら感とか頭が火照る感じでしか体感されないんでしょうね。他人が触れると不気味なぐらいに熱いのに。