急にひぐらしが書きたくなったらしいc⌒っ.д.)っ


[ひぐらしのなく頃に/梨花・圭一]

 月明かりは優しく包み込むように照らしてきて、薄闇の中に凛々しいほどに圭一の表情は映える。始めて圭一と
出合ったときのことは明確に覚えているのに、その時にどんな眼差しで圭一のことを見つめていられたのか、今と
なってはもう梨花には思い出すことができなかった。
 どうして少し前までは、平然とした気持ちで彼のことを見ていられたのだろう。言葉で囃したり行動で囃したり、
そうした純粋な友人としての気安い関係がほんの少し過去へと遡るだけで在った筈なのに。その時の気持ちは、今
は僅かにさえ確かめられはしない。
 今では――見つめているだけで、吸い寄せられてしまいそうな気持ちになる。心も、躰さえ、自由にはならない。

 夜の古手神社前。送ってくれた圭一が、梨花のほうを優しい眼差しで見送ってくれる。
 神社の石段が、身長差を補ってくれる。だから私は、何の苦労もなく圭一に口吻けることができた。

「梨花、ちゃん――?」
 唇は僅かに触れ合って、すぐに離れる。驚いたように見開かれる彼の瞳に訊ねられて、梨花はにいっと微笑むよ
うに笑顔を浮かべて応えた。
「何、を……?」
「――キスされてその意味が判らないだなんて、言わないで欲しいのですよ」
 これでもう、逃げられない。魅音には明日にでも、嫌われるかもしれない。そう思うのに、不思議なぐらいに心
は後悔の気持ちを抱かせなかった。
「私はもう……圭一に対して自分を作るのは、やめたのです。圭一に対して少しでも自分を偽ること、圭一を少し
でも疑うこと。その二つをやめてしまった今だから、私は心の儘に圭一に気持ちをぶつけることができる」
 殆ど、自然に言葉が零れ出てくるみたいだった。言葉は選べば選ぶほど嘘に近づく気がするのに、今だけは正直
に心の有り様を彼に伝えられている気がする。
 心臓が早鐘を打つように高鳴っている。それでも、私はもう躊躇わずに何よりも伝えたい気持ちを、圭一の目を
見て言うことができた。
「圭一のことが――好きなのです。この世界で、誰よりも圭一のことが好きなのです」
 心を素直に相手に打ち明けてしまうことには、信じられないぐらいの勇気がいる。だけど私に惨劇を回避するだ
けの勇気を与え、心と向き合って逃げないだけの勇気を与えてくれたのも、他ならない圭一だった。
「……」
 圭一は押し黙ったように何も答えない。――無理もない。圭一だってまさか私から、こんな気持ちを打ち明けら
れるとはまるで予想してはいなかっただろうから。
「……本当に、俺なんかを……?」
「はいなのです」
 まだ信じられない、といった面持ちで。けれど圭一は、疑うことなく私の言葉を受け入れてくれる。
「どうして……その、俺なんか、を……?」
「それは、愚問なのですよ圭一」
 その質問には、すぐに答えることができた。
「私たちは惨劇という共通の目標と戦ったことで、誰だって圭一の本当の魅力を知っているのです。だから私も、
魅ぃも、他の誰だって圭一に惹かれて恋をするのです。――圭一のことを、好きにならないはずがないのですよ」
 魅音の名前を出したことで、少しだけ嫉妬が心を焦がすことに気付く。
「圭一のことを『魅ぃの婚約者』だと、茶化すたびに壊れていく心があったのです。私はずっとその気持ちに気付
いていても、見ない振りをするしかなかったのです。それはとても辛いことで……苦しいことで……。気持ちの正
体を意識してしまわないように、何度も何度も心を閉ざしていても……圭一へ抱いてしまう気持ちの真実は、疑い
ようもないぐらいにまざまざと、私の心に突きつけられてくるのです……」
 今は、心がとても清々しい気持ちだった。私はずっと言いたかった――圭一のことを好きな自分を、彼のことを
愛している誇らしい自分を、誰に対しても豪語したいぐらいだった。
「その、俺は……」
「わかっています。圭一は、魅ぃのことが好き……なのです」
 気持ちが叶わないことは知っていた。
 その事実はかつて、悲しいぐらいに私の心を傷つけたけれど。……今は、そうではない。
「ごめんなさい、圭一。……知っていても、もう私は自分に嘘は吐けないのです。例えそれが、圭一を困らせてし
まうことにしかならなくて、魅ぃに嫌われることにしかならないと判っていても」
 報われるか、報われないか。そういう問題ではない。
「圭一に、私のことを好きになって欲しいわけではないのです。ただ、私が圭一のことを誰よりも好きなことを、
知って欲しいだけなのです」
 叶わないからと、正直な気持ちに手を伸ばさないのはとても愚かなことだと、今だから判る。相手にも自分と同
じぐらいに愛されたいから告白するのではない、私が圭一のことをこんなにも愛しく思っている気持ち、ただそれ
を理解して欲しいがために、私は気持ちをぶつけるのだ。
「覚悟するのですよ、圭一。私だけでなく、すぐに他の人たちもみんな、こぞって圭一に告白してくるのです」
「……いや、それはさすがに梨花ちゃんの思い込みだと思うけど」
「信じないなら、それでもいいのです。……忠告はしたのですよ?」
 そう言いながら、意識して妖艶に笑んでみせる。それを見て困った顔をする圭一が、今はとても可笑しかった。
「みんな魅ぃに遠慮して、気持ちを隠しているのです。でもボクが、みんなの前で圭一への気持ちを隠しもせずに
告白したなら……きっとみんなすぐに、気持ちを押しとどめることができなくなってしまうのですよ」
「げっ……みんなの前でも言うのか?」
「はい、言うのです。私のことを好きになってくれない圭一なんて、せいぜい困るがよいのですよ〜」
 報われないと判っていても、嫉妬の心が無いわけではない。そうなるとむくむくと首を擡げてくるのは、やっぱ
り悪戯心だった。どうやら私は気持ちを偽る云々以前に、本質的に意地悪らしい。
「その……ごめんな?」
「え?」
「せっかく気持ちを打ち明けてくれたのに、その……」
 本当に申し訳なさそうに口にする、圭一の姿を見てしまうと。途端に今までの可笑しさや悪戯心が吹っ飛ばされ
て、どうしようもない程の申し訳なさだけが心に溢れてきてしまう。
「……私こそ、ごめんなさい、なのです」
 けれど謝るからといって、圭一を困らせることを止められることにはならない。
「それでも私はみんなの前でも、圭一のことを好きと言うのです。……これだけは、譲れないのです。これを諦め
たら、私はまた自分に嘘を吐くことになってしまう」
「……わかったよ」
 不承不承といった様子で、圭一は頷く。それでも圭一が笑ってくれて、私の気持ちを嫌だと思ってはいないこと
が、私には堪らなく嬉しかった。
「それじゃあ、もう行くのです」
「ああ、また明日な」
 簡単に手を振り合うだけの別れを済ませて。私たちは、お互いに背中を向け合う。
「――圭一!」
「おう?」
 自転車に跨って、今に走り出しかけた圭一を、私は呼び止めていた。
「その……こんなことを言うと、圭一はきっと笑うと思うのですが」
 自分でも変なことを言おうとしているのは判る。判っているのだけれど、それでも彼に直接伝えたい気持ちを、
私は押しとどめることができない。
「ボクは、圭一のことを……運命の人だ、と強く意識しているのです」
「……別に笑ったりなんてしないけど」
「みぃ。やっぱり、誰にも譲れないのです。譲れないのですよ……」
 圭一と魅音は両想い。判っていても、やっぱり諦めきれない。
「私に諦めない心と強さを教えてくれたのは、圭一なのです。だから私は……やっぱり諦めたりしないのです! 
圭一を……圭一を魅ぃだけのものになんて、許せないのです。圭一を、振り向かせてみせるのです……!」
「り、梨花ちゃん?」
「覚悟するのですよ、圭一? 圭一はとても強い人で、圭一のおかげで惨劇という運命から私たちは逃れることが
できた。だけど、私が教えてあげるのです。この雛見沢に――決して逃れられない運命もあるのだということを、
圭一に教えてやるのですよ。にぱ〜♪」

途中から何が書きたいのか判らなくなって、変になりましたが(死
あと、ひぐらしについて実はよく判ってませんので変なところありましても容赦下さい。コレ(※ニコニコ動画)を一周見た程度の知識しか無いのですc⌒っ.д.)っ